谷乃井酒造

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 明治20年代に東京・精行舎が刊行したとされる「日本博覧図」。当時の関東地方を中心とした名勝旧跡・寺社、豪農豪商の邸宅・庭園、会社・工場、学校の校舎などが細密に描写されている銅版画集です。約10年間のあいだに計12編が編集され、千葉県の場合は明治27年~30年のあいだに第9編(初編)、第11編(後編)、第12編(千葉県の部として数点)が掲載されました。
 その(後編)に掲載された広告も含む計192名の中に八鶴湖付近に実在した造り酒屋が描かれています。江戸時代より代々「蔵右衛門(くらえもん)」と呼ばれた醸造元「小林酒造場」は、東金名水と言われた裏山の湧水を利用した水車で米を搗(つ)き、東金の地酒を造っていたそうです。
 「小林酒造場」では、量り売りからビン売りが主流になった時代には、文化4年(一八〇七年)より地酒として醸造して来た「谷乃井(たにのい)」と新しいブランド「八鶴(やつる)」の商標ラベルがビンに貼られて出荷されていました。「谷乃井」のラベルには橋の袂に花を咲かせた桜の木が描かれ、「八鶴」には鶴の絵が描かれています。このラベル、今も東金駅東口のギフトセンター「タニノイ」さんの店内に大切に飾られています。
 「博覧図」は県立中央博物館に400点あまりが所蔵されており、当時の風俗や景観を窺い知る貴重な資料となっています。この酒蔵場の鳥瞰図もまた、まだ鉄道も来ていなかった当時の東金町の隆盛を伝えています。

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